あひるの仔に天使の羽根を
何だか、"かい"の後ろが騒がしい。
さっきの"れいくん"が、えばらのおじいちゃんと…遊んでいる?
ふわりふわりと舞っているようで綺麗な姿で、えばらのおじいちゃんが"かい"に近づかないようにしているようにも見える。
何の遊びなのかなあ。
真剣な顔つき。片手を庇って辛そうだけれど、遊んでいて大丈夫かな、"れいくん"。
白い光が広がる。
気づいたら、"かい"の後ろに立ったおじいちゃんが、手すりに掴まる"かい"の片手をとって。
ゴリリ。
ありえない方向に捻じ曲げたら、凄い音が鳴り響いた。
目を見開くあたしの前で、
「外れただけだ。俺は大丈夫だから」
"かい"は蒼白な顔で笑うけど。
ゴリリ。
益々嫌な音がして、あたしは悲鳴を上げた。
現れた"れいくん"は片手を押さえながら、えばらのおじいちゃんを、中に戻すように突き飛ばし、また遊び始めた。
あたしの身体はそのままで。
上がりもせず下がりもせず。
あたしの両手は痺れてきた。
「ねえ、せり」
久遠が声を出した。
「どっちかの手を離しなよ」
おかしなことを言って。