あひるの仔に天使の羽根を


「どっちかを選ぶんだ」



どっちって…何?


皆で仲良く遊ぼうよ。



「どうして選べれない? せりの"永遠"は誰のもの?」



"永遠"?



どくん、と心臓が鳴った。



「あたしの"永遠"は――」




「芹霞」



上から降るのは低い声。


黒い黒い、王子様。


痛そうな顔をしている、王子様。




「死んでも離さない」




何でかな、涙が出てくるよ。



――芹霞ちゃあああん!!


誰かの泣き声が聞こえてくるよ。




綺麗な綺麗な真っ黒の瞳が、


痛いくらい真っ直ぐあたしを見ていて。



心が震えた。



「堕ちるなら、俺も一緒だ」



涙が止まらない。



心臓が痛い。



――ぎゃははははは。



ああ、笑い声は誰のもの?




その時だった。





「櫂!!! 俺に交代だ!!!」




視界に――


橙色が飛び込んできたのは。


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