あひるの仔に天使の羽根を
見ると、お人形みたいな綺麗な子がいて。
男の子? 女の子?
大きいおめめがくりくりして可愛い。
「はじめまして!!! あたし"かんざきせりか"。お名前教えて?」
嬉しいな、嬉しいな。
「…さくら」
お友達が増えたよ、久遠。
きっと久遠も喜んでいるよね。
だって久遠も友達いなくて寂しかったんでしょう?
「じゃあ"さくらちゃん"」
あたしは抱きついて、つやつやほっぺにすりすりをすると、
「何で俺には挨拶がねえんだよ!!!」
オレンジワンコがあたしに飛びついてきた。
だからあたしは、ワンコの喉元を撫でて上げた。
「昔ね、お姉ちゃんが大きいワンコを拾ってきたの。綺麗で温かくてふわふわしていて、あたしとっても大好きなワンコだったんだけど…」
あれ?
あのワンコ、何処に行ったんだっけ?
「大好き…」
真っ赤になったワンコは、尻尾を揺らした。
――その時。
「さてさてどうします? 13年間分の記憶を、私の幻術で再構築差し上げてもよい。皆様も嫌でしょう? "はじめまして"を言われるのは」
えばらのおじいちゃんが笑っている。
「そうですね。では、此処で殺し合って下さい。生き残った方に、13年間分の記憶と、彼女の"愛情"を増やして差し上げましょう」