あひるの仔に天使の羽根を
 

「白皇。"俺達"の相手を務められるか?」


痛めつけた礼はしてやるから。


「……。如月様、葉山様は…ほう、体力がお戻りのようで。止血された玲様と、脱臼に留められた紫堂様の肩の骨は…お戻しに成られたか。さてさて、この老体…何処まで持ちますことやら」


引く気はないということか。



「……1つ訊く。蘇生後も、金はかかるのか?」


「はてはて、何のことですかな?」


惚けるのならそれでもいい。


「では。闘いを始める前に…散々俺達を笑いの種にして、俺達をどうしても"殺し合い"をさせたかった"方々"に、ご挨拶させて頂こうか」


俺は挑発的に笑い――

すっと足を進めた。



そして――

一見、何もない…奥の空間に向け、掌を向けると



「――…はッッ!!!」



外気功を放った。



ガシャーン。



硝子が割れるような音がして、



ぱらぱらと――



和室を象った部屋の光景が、煌く欠片となり剥がれ落ちていく。



「煌!!! 桜!!!」


「おうよ!!!」「はい!!!」


俺の声と同時に、橙色と黒色が瞬時に動く。


部屋の左半分を煌が偃月刀が、右半分を桜の裂岩糸が――俺が作った穴を大きく拡げていけば。


やがて目に映るのは――



「お久しぶりですね、式典以来でしょうか。皆様」



俺は、揶揄するように…優雅なお辞儀をくれてやる。



俺の記憶に残る――


下卑た笑い浮かべた連中へ。
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