あひるの仔に天使の羽根を
そんな時――
「"ゲーム"はただの手段。それを絶たれるのは確かに痛手ですが、過剰過ぎる程の力を注いで戴けたお陰で、全てがスムーズに動き始めたようです。万事…予定通りに」
白皇が今までの狼狽の色を払拭させ、
不気味な余裕の笑いを顔に浮かべた。
何か…嫌な予感に俺は目を細める。
何を言い出す?
何を考えている?
五皇の2人を相手にして、戦意は失われていない。
それが、俺にはひっかかって。
「ご覧下さい」
白皇に促されて視線を向けた壁は。
漆黒から真紅に変わったその色は、
「鏡!!?」
下方より…白銀色に侵蝕されていた。
まるで――
走り抜けてきた外界の…地面のように、その色は神々しい色合いながらも瘴気を放って、残忍な煌めきを見せて上方に伸びていく。
徐々に、塔の頂まで触手を伸ばして。
「逃れられない? それは私の台詞。
外界の者達諸共、五皇も皆様も…命の糧となって戴きますぞ、"彼女"の!!!」
ああ、此処は11番目のセフィラだというのなら。
やはりこの塔を何とかしないといけない。
俺は拳に力を込めた。