あひるの仔に天使の羽根を
「言葉がなんだ、想いがなんだ!!! そんなものは"永遠"の副産物にしかすぎんわ!!!」
白皇が…光を放って――
スピーカーを、機械そのものを破壊した。
それは瞬時に火を放ち。
スピーカーから流れる声が、不安定に高低入り乱れ…途切れ途切れになっていき、やがて…呻くような低音を伸ばして、完全に消え去った。
「ほう…壊すか、お前への"想い"を」
愉快そうに笑う緋狭さんが、手を上げて炎を消した。
動じた様がないのは――
この事態を看破していたのだろう。
「あ~あ、やっちゃったね、シロ。それじゃなくても此処の鏡は過剰任務に耐えられず崩壊寸前なのに、更に流れた電気の力が行き場無くして暴走しちゃえば…」
狂騒する赤を封じていた白銀の壁は、"彼女"の想いの強さに忍苦出来ないというように…警告のような妖しい光を点滅させて――。
「自壊」
氷皇が酷薄めいた顔で大きく笑った時、
壁の白銀色に…上下に大きく亀裂が走り、塔が絶叫した。
「チェックメイトだ、白皇」
俺は腕を組んだまま、固まる白皇に言い放つ。
「違う!!! "彼女"は、まだ彼女は私と"永遠"を!!!」
ああ――
この"永遠"に縋りつく様は。
己の弱さを、現実を省みない必死なこの様は。
俺は笑い飛ばせない。
判るんだ。
どんなことをしても、俺だけを想い続けてもらいたい…その切なる心情は。
例え、拒絶されようと。
例え、他の男を選ぼうと。
諦めきれない、熱情は。