あひるの仔に天使の羽根を
13年間。
更に刹那の記憶まで抱え込んで。
ただひたすらに…芹霞がやってくるのを待っていたんだろう?
芹霞が、俺に…自分以外の男に"永遠"を誓っていたのが、疎ましくて憎くて仕方が無かったんだろう?
「お前…酷すぎじゃねえか!!?」
煌が久遠に詰め寄っている。
芹霞は泣いていて。
「芹霞……」
泣きじゃくる芹霞を、
「僕達と、帰ろう?」
玲が後ろから抱きしめていた。
「僕達は…僕は、君が必要なんだ」
更に覆い被るように抱き締めた。
それを見ている俺は――
俺自身の姿を玲の中に見出して。
嫉妬以上にやるせなくなった。
そんな玲に…
「ごめんね、玲くん」
後姿では判らない。
玲の…端麗な顔は、どんな辛さに歪んでいるのか。
微動だにしない。