あひるの仔に天使の羽根を
 

こんなに求める俺を、どう思っている?


何が『気高き獅子』だと、軽蔑するか?


ただの"男"にしか過ぎない俺を、軽んじるか?


――芹霞ちゃあああん。


変わっていないんだ、芹霞。


お前が求める8年前の姿は、俺の心。


だから――


来いよ、芹霞。


俺は離れないから。


判れよ、いい加減。


ずっとずっとお前しかみていない俺を。



「……し……死ぬ…」


芹霞が声を漏らした。



息苦しさにくたってしまった芹霞を少し開放する。


潤んだ目と、紅潮した頬に。


どこまでも俺に欲情させて。


いつになったら俺達の心は混じ合える?


俺は芹霞の額に自分の額をつけて、至近距離で囁いた。


「俺だけにしてくれよ」


「……?」


上目遣いでこちらを見る芹霞。


「こういう、ヤラしいことは」


途端、更に芹霞の顔が真っ赤になって、酸欠金魚のように喘ぎだした。



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