あひるの仔に天使の羽根を
「お前なあ!!? それなら俺は分別ねえ男じゃねえか!!」
「違ったの?」
更に大きくカチンとくる。
「俺だって相手は選んでるッ!!!」
すると芹霞の目が細くなった。
「……へえ?
選んでるんだ。
選ばれてんだ、香水女達……」
「……!!!」
瞬時に俺は項垂れる。
ヘタレな俺は、この話題を振られると何も言えねえ。
弱い俺は現実から逃げるために、散々香水女を抱いたから。
『来る者拒まず』
香水女なんて完全欲望の捌け口で、仮初の相手。
拘りがあるとすれば後腐れなく簡単に別れること。
どんなに懇願されても同じ女は抱いたことねえし、どんな女とも絶対口唇だけは重ねねえし、人肌の触れ合いをまったりと愉しむことなく、用が済めば速攻家に帰ってきたけれど、だからといってそれを言ったら確実に芹霞に軽蔑される気がする。
悲しいけど、その自信はある。
そんなことを俺は散々してきたんだ。
「何か言えば?」
冷たい眼差し。
いくら俺が本気なんだと言っても、芹霞にとってはキスすることは俺の戯れだと思ってしまうのだろう。
馬鹿な俺はどう訴えていいのか判らす、もごもごと口を動かすだけで。
気づけば芹霞は既に玲達の処に行ってしまった後で。
どうしたら、本気だって信じて貰える?
どうしたら、俺の想いを判って貰える?
どうしたら、芹霞が手に入る?
俺の本能的な行動が、芹霞の疑いを招く物だというのなら、
俺の――
取れる手段は1つだ。