あひるの仔に天使の羽根を


鬱とした気分で歩くあたしに、由香ちゃんは気づいていたみたいで


「それが逆ハーでモテる女の宿命さッ!!!」


だけどとっても楽しそうで。


「モテる? 由香ちゃん考えすぎだよ。モテる処か皆離れて誰もいなくなりそうだよ……」

大きく溜息をつくしかなく。


「男ってよく判らない……」


そうぼやけば、


「むふふ。師匠もいい時に女装したなあ…って、やはり姉御の言った通り」


そこに何で玲くんと緋狭姉が出てくるのか判らないけれど、由香ちゃんは意味ありげな笑いをすると、腕を組みながら佇んで考え込む玲くんの元に行ってしまった。


1人残されたあたしに近寄る者はなく。


櫂がこちらを見ている。

煌がこちらを見ている。

桜ちゃんが観察している。


今は男という生物に近寄りたくない気分。


性別なんてあたし達の間には関係ないと思っていたけれど、今は性別の違いが凄く気になってしまう。男を見せつけられると反発したくなる。


男の格好をしているというだけで、あの桜ちゃんでさえも敬遠したい心地だ。


大丈夫なのは、由香ちゃんと玲くんか。


「芹霞に任せよう」


玲くんがそう言ったのは、それから間もなくのことで。


「は?」


何を任せられるのか聞いていなかったあたしは、玲くんを見上げた。


気づけば話し合いの最中にあったようで、


「お前が先頭になって俺達を誘導しろ」


櫂がそういった。



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