あひるの仔に天使の羽根を
「……ねえ、病欠っていつまで有効!?
あたし学校休み過ぎ、留年しちゃうよッッ!?」
現実を思い出したあたしが慌てると、
「ああ、桐夏は秋休みにした」
櫂が平然とした顔で言った。
「な、何、"した"って。あんた一介の生徒じゃないッ!!」
「名目上は、な」
不敵に、悠然と笑う櫂の顔。
櫂にとって、桐夏の行事を操作することも容易いことなのか。
「ああ、お前用の勉強道具はもってきているから、勉強は心配するなよ。お前の補習、教師から一任されているし、びしばし教えてやるからな?」
そんな言葉まで頂戴した。
櫂がやると言ったら、とことんやる。
スパルタだ。
幼馴染だろうが何だろうが、容赦ない。
やるからには完璧に遂行する。
だからあたしは二年前、煌と一緒に桐夏に受かったのだけれど。
ああ、あの悪夢再び。
もう、どうとでもなれ、だ。