あひるの仔に天使の羽根を
それ以来――
場がぴりぴりとして空気が重苦しい。
平然としているのは遠坂由香で。
「ねね、キミは邪魔しないの?」
彼女は私に囁いた。
「何を?」
「勿論、如月が告ることに対してさ」
「どうして?」
「どうしてって……嫌だろ? 告られるのは」
確かに、嫌だけれど……。
「嫌って思うのが、嫉妬なんだよ?」
私が嫉妬?
馬鹿な。
「まあ、認めたくないならいいさ。キミもそのうち、実感するだろうからさ」
実感――?
遠坂由香は満面の笑みでそう言うと、芹霞さんの元に駆けた。
私は無意識に左胸の服地を手で掴んだ。