あひるの仔に天使の羽根を
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通された客間は非常に広く、寝室は人数分……3部屋もある。


寝室以外にも、大型テレビのあるゲストルーム、書斎、お風呂やシャワー、お手洗いも完備で、昨日まで居た病室を彷彿させる。


ホテルでいうなら、間違いなくスイートルーム級。


庶民精神丸出しのあたしは由香ちゃんとはしゃぎながら、部屋を1つ1つ回り、寝室の天蓋がついたお姫様のようなベッドを見た途端、


「うっひょ~」


由香ちゃんが、まずベッドにダイブして高く飛び跳ねた。


気持ちよさそうだったから、あたしも真似して飛び跳ねて、傍で立つ由香ちゃんと顔を見合わせて笑ってしまった。


備え付けのクローゼットを開ければ、荏原さんの言った通り服があり、


「すっご~い、皆高級ブランドものだよッ!!?」


由香ちゃんが瞠目しながら出す服は、庶民には程遠いパーティ用のドレスで。


まるで世界的に有名な映画祭に出席する女優のような、一点物の注文服(オーダー)並の豪華さ。


「……これをいつも着てろと?」


「ねえねえ神崎ッ!!! こっちのローチェストに入っているのは普段着用みたいだよッ!! ん~、でもやっぱり高級ブランドばっかりだ。下着だってシルクだよ、シルクッ!!!」


あたしはふと疑問に思った。


「ねえ、由香ちゃん身長何センチ?」


「ボクかい? ボクは150cmで成長が止まってしまっているのさッ!!!」


自慢げに言われてしまった。


「あたしは、161cm。そこにある服……あたしにサイズピッタリで、ジーパンだって、足の長さジャスト。皆あたしが好きなシンプル服で」


そしてあたしは由香ちゃんを連れて、隣の寝室に行き、クローゼットから服を取り出した。


「おおっ。それはチャイナか!? シニヨンもセット!? おお、他には袴、セーラー、修道服!? これら有名格ゲーの衣装だねッ!!? しかも素材は高級品!! コス好きには溜まらない、本物服だッ!!!」


そして色々な服を身体に合わせた由香ちゃんは、


「おおおっっ。全て、何てぴったり、ブラボーッ!!!」


ご満悦で叫んだ。





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