あひるの仔に天使の羽根を
「何だよ何だよ。3人しか居ないのに、2人の世界に浸らないでくれよ~」
「ふ、2人の世界?」
「そうだよ~。何見詰め合って親密度アップさせてんだよ~。でもまあ、ボクは師匠の弟子だからね、ずっと師匠の味方だけれどねッ!!!」
「本当? それは由香ちゃん心強いなあ」
玲くんが嬉々として笑った。
「この期にちゃっちゃとものにしちゃいなよッ!!! 神崎に引っ付いて離れない野暮なボクでないしねッ!!! 愉しみだね、師匠。むふふふふ」
「僕はいい弟子をもったなあ」
一体――
何の話をしているのだろう。
それより。
「ねえ。この部屋の服装って、玲く……玲の好む服だよね? 白基調の」
「やっぱり、気づいていたね」
途端玲くんは少し固い顔をした。
「服のサイズもズボンも僕にぴったりだ。まるで、僕がこの部屋にくることを知っていたかのように……」
「え、え!?」
由香ちゃんが怪訝な顔を寄越してくる。
「最初に入った部屋は、あたし好みの服があり、次にはコスプレ好きな由香ちゃんが好みそうな部屋。そしてここは玲が好む服がある。
偶然――とは考えにくいよね。サイズまでぴったりならば」
玲くんは頷く。
「芹霞、由香ちゃん。十分気をつけて。
やはり此処は――色々とひっかかることばかり。
来たばかりでこれなら、長く居れば更に矛盾が際立つ気がする」
端麗な顔は、鋭い光を増していた。