あひるの仔に天使の羽根を
 
なあ煌。


お前が思う程、俺に優位性はないんだよ。


同じ立場なんだ、お前と。


どんなに変えたくとも、どんなに想い続けていようと、


芹霞は――


――櫂。今のこと、忘れようね。


「……」


どうすればいいのか判らない。

どうすれば頑なな芹霞の心が解れるのか判らない。


ただ不安だけが渦巻いて。


刹那って誰だ?

旭は何を知っていた?


旭はもう居ない――。


もう少しよく聞けばよかった。


子供だからと軽んじずに。


旭が俺を敬遠していた理由。


旭が俺を"代わり"と言った理由。


そして旭が、あの石の扉を開くことが出来た理由。


双子の月には白い羽根がついていた。


旭は、天使だと言った。


だけど――


あの石の扉を動かせる者は、闇属性だ。


だとしたら、あの双子は――


天使ではなく闇属性のものだというのか。


一体、何者だというんだ。





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