あひるの仔に天使の羽根を


――ドガアアアアン



激しい爆裂音と共に、建物がぐらぐらと揺れたのは。



「な、何、どうしたの!?」


消える電灯。


僕が捕まえようとした芹霞は、櫂の中に居て。

ぎりと歯軋りをした時、電気がついた。



そして荏原が血相を変えて飛び込んできた。



「た、只今ッ!!!

か、各務のものと皆様の船全てが

――爆破されたようです。

現在調査中ですので、暫しお待ちを」



そして慌ただしく出て行ってしまう。



「爆破?」



喧噪の中、桜が顔を顰める。



「つまりは――

帰る術がなくなったということさ。

――誰もがな」



それは酷く愉快そうで、挑戦的な笑い方だった。

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