あひるの仔に天使の羽根を
元々優雅な物腰の玲くんだから、例え性を違えた格好であろうとも、1つ1つの所作が流れるように美しく、いつも以上のキラキラオーラを纏っていて。
その光が眩しすぎて。
あたし、女やめようかなって本気で思った。
2人に宥められて、とりあえず……チャイナ服がキュートな由香ちゃんと絶世の美女たる玲くんと、案内されたパーティー会場に赴いてみれば、既に櫂達は場の中心に居て。
その姿を見た時、
すぐ部屋に帰りたくなった。
櫂は――
完璧な美貌を持っている。
それは玲くんのような柔和なものではなく、何処までも精巧に作られた氷のような彫刻のようで、為政者として相応しいだけの美貌で周囲を圧倒する。
その櫂が正装して談笑する様は。
あたしの櫂じゃなかった。
そこに居たのは紫堂の次期当主で。
どう見ても、幼馴染のあたしが隣に立っていい人間じゃない。
世界が――違う。
しかも大して乗り気ではなさそうな煌だって。
いつもTシャツにジーパン姿から正装すれば。
嫌でも目を引くその美貌。
更に桜ちゃんだって。
何年振りか判らない男の格好は、貴公子のように。
なんだかんだと紫堂の警護団の面々だって、華やかな衣装を纏うこのパーティに溶け込んでいる。
それくらい、彼らの美貌も尋常ではなかった。