あひるの仔に天使の羽根を
 


煌や桜ちゃんも口を開けてあたしを見て動きを止めているし、こんな反応を予想せずにいたあたしがあまりにも滑稽すぎて、恥ずかしさに泣きたくなってしまった時、


「ふふふ、芹霞。それだけ、君は女性ってことだよ?」


玲くんがくすりと笑いながら言った。


「? あたしもウザく着飾って纏わり付くそこいらの女ってこと?」


「……………。

君は時に思考がぶっ飛ぶよね。

まあ、君を"そこいらの女"として邪険に扱うのなら、

僕だって"そこいらの男"として扱うよ?」


そう玲くんは意味有り気に笑い、あたしの前に出た。


「芹霞……ちょっと、ごめんね?」



途端にざわめく会場内。


凄い。


色気満載の玲くんの動きに、誰もが目が釘付けになる。



どうして?


女のあたしより、


どうして玲くん綺麗なの?



刺激される劣等感。



益々場に取り残されるあたし。




やがて櫂の元に、玲くんと由香ちゃんとで近寄った時、


皆の目が向けられているのはやはり綺麗な玲くんで。



あたしだって、お洒落したのに。



誰も何も言ってくれない。



由香ちゃんが見兼ねて、あたしの心を代弁してくれたけれど、その時のあたしはもう不貞腐れ真っ只中。



煌が目の前でわたわたと焦り、櫂も何か言おうとしていたけれど、人に急かされて出る言葉なんかろくなものじゃない。




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