あひるの仔に天使の羽根を
 

もう駄目だ。


元々我慢できる性分でもねえ。


もう告る。

速攻告りてえ。



そんな俺にチャンスが巡ってきた。


――少し部屋まで。顔洗いたい。


皆話し込んでいるし、護衛を名目にして芹霞に言おう。


そんな俺の心知らずに、芹霞は1人で行くと言い張る。


俺も段々苛々してくる。


こっちの心も知らねえで。


――ああ、そういえば、煌はあたしに話があるんだっけ。

――判った、判った。じゃあ一緒に行こうか。


何でそういう時は聡いんだよ、馬鹿芹霞!!!


皆に感付かれる前に此処から出ようとしていたのに、櫂も玲も無言の圧で俺を牽制し始めたじゃないか。


うわあ、良心が痛む。ちくちく処の話じゃねえ。


なんでそんな無邪気な笑顔向けてくるんだよ、芹霞。


悪いことしようとしている気になってくるじゃねえか。


何で判らねえのかな、この阿呆タレ!!


こうなりゃ自棄だ自棄ッ!!!


――ああ、話しようぜ?


もう引き返さねえからな。


俺、突っ走るからな。


櫂も玲も俺の決意を汲み取ったのだろう。


何も言わない。


というより、何も言えないようだ。


そりゃあそうだ。


皆同じ想い抱えている。


俺を止める権利は誰にもねえ。




< 217 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop