あひるの仔に天使の羽根を
もう駄目だ。
元々我慢できる性分でもねえ。
もう告る。
速攻告りてえ。
そんな俺にチャンスが巡ってきた。
――少し部屋まで。顔洗いたい。
皆話し込んでいるし、護衛を名目にして芹霞に言おう。
そんな俺の心知らずに、芹霞は1人で行くと言い張る。
俺も段々苛々してくる。
こっちの心も知らねえで。
――ああ、そういえば、煌はあたしに話があるんだっけ。
――判った、判った。じゃあ一緒に行こうか。
何でそういう時は聡いんだよ、馬鹿芹霞!!!
皆に感付かれる前に此処から出ようとしていたのに、櫂も玲も無言の圧で俺を牽制し始めたじゃないか。
うわあ、良心が痛む。ちくちく処の話じゃねえ。
なんでそんな無邪気な笑顔向けてくるんだよ、芹霞。
悪いことしようとしている気になってくるじゃねえか。
何で判らねえのかな、この阿呆タレ!!
こうなりゃ自棄だ自棄ッ!!!
――ああ、話しようぜ?
もう引き返さねえからな。
俺、突っ走るからな。
櫂も玲も俺の決意を汲み取ったのだろう。
何も言わない。
というより、何も言えないようだ。
そりゃあそうだ。
皆同じ想い抱えている。
俺を止める権利は誰にもねえ。