あひるの仔に天使の羽根を
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談話室には俺達以外誰もいない。
各々自室に戻ったのか、それともこの家にあるビリヤードなどの遊技室にでも集って酒でも酌み交わしているのか。
未成年ということは、概ね逃げる良い口実になる。
そんな下らぬ遊びに付き合う義理はない。
それを感じ取ったのか、荏原が通してくれた談話室に来訪者はなかった。
俺には考えねばならぬことがある。
私情より何より、俺達は紅皇代理なのだから。
"約束の地(カナン)"には、不穏な空気が付きまとっている。
まず――
俺達を襲った神父や修道女の服を着た刺客達。
俺達の…紫堂の力を無効化する道具で海に逃げられ、
その海では奇怪な生物が漂い。
羽根の生えた、正体不明の双子。
双子を殺した狂信者と呼ばれるもの。
誰も知らぬという地下の鏡の迷宮と繋がる、闇属性で開く石の扉。
辿り着いた先では――
「なあ、櫂。
何か――感じないか?」
玲が鳶色の瞳を鋭くさせ、少し声を低めた。
「普通ではない――
殺気めいた奴の気配か?」
すると玲は目を細めた。
「やはり――気づいていたね。
船が爆破されたあたり、からかな。
複数の……意図的に気配を殺した者達が紛れ込んだ」
同感だった。
「事故ではないね、あれは。
もっと作為的なものだ。
私怨かもしくは――」
「この地の故の抗争か。
各領域を行き来出来る夜
何をしでかす気なのか」
だが――
「何とも腑に落ちん」
俺は言った。
談話室には俺達以外誰もいない。
各々自室に戻ったのか、それともこの家にあるビリヤードなどの遊技室にでも集って酒でも酌み交わしているのか。
未成年ということは、概ね逃げる良い口実になる。
そんな下らぬ遊びに付き合う義理はない。
それを感じ取ったのか、荏原が通してくれた談話室に来訪者はなかった。
俺には考えねばならぬことがある。
私情より何より、俺達は紅皇代理なのだから。
"約束の地(カナン)"には、不穏な空気が付きまとっている。
まず――
俺達を襲った神父や修道女の服を着た刺客達。
俺達の…紫堂の力を無効化する道具で海に逃げられ、
その海では奇怪な生物が漂い。
羽根の生えた、正体不明の双子。
双子を殺した狂信者と呼ばれるもの。
誰も知らぬという地下の鏡の迷宮と繋がる、闇属性で開く石の扉。
辿り着いた先では――
「なあ、櫂。
何か――感じないか?」
玲が鳶色の瞳を鋭くさせ、少し声を低めた。
「普通ではない――
殺気めいた奴の気配か?」
すると玲は目を細めた。
「やはり――気づいていたね。
船が爆破されたあたり、からかな。
複数の……意図的に気配を殺した者達が紛れ込んだ」
同感だった。
「事故ではないね、あれは。
もっと作為的なものだ。
私怨かもしくは――」
「この地の故の抗争か。
各領域を行き来出来る夜
何をしでかす気なのか」
だが――
「何とも腑に落ちん」
俺は言った。