あひるの仔に天使の羽根を


そしてそれを――


――ただの見物です。


煌が殺される処を

ただ眺めろというのか。


正体不明の男と、共に。



私は――

馬鹿蜜柑が嫌いだ。



殺してやりたい時もあるけれど、

むしろ最近、そんな思いばかりだけど、

笑いながら見殺しにする趣味はない。


この男のように。


殺すなら、

もっと正々堂々と私が殺る。


せめてもの慈悲だ。


私がこんなに近くに控えていて

馬鹿蜜柑を黙って殺されるわけにいかない。


それより何よりも――


――ねえ、桜ちゃん。


芹霞さんが居るのに。


あいつが倒れたら芹霞さんはどうなる?


誰が芹霞さんを護る?


櫂様も玲様も居ない、この状況で!!!


「――…ッ!!!」


血に染まる芹霞さんを想像して、

私は総毛立った。



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