あひるの仔に天使の羽根を
「それは俺の台詞だ」
睨みつけるような褐色の瞳。
好戦的だけれども、いつものような強い光はなく。
凄みはあるけれど…虚勢のようにも見える。
息遣いがますます荒い。
煌が呼んだ桜ちゃんは現れない。
桜ちゃんに煌を頼めない。
――やだ。
このままだと煌がやられる。
煌を護らないと。
あたしが煌を護らないと。
あたしは女を睨み付けた。
「あんたの殺す相手はあたしでしょッ!!!
それとも何?
あたしじゃあんたの相手不足だとでもいうわけ!!?」
どうにかして、狙いの対象をあたしだけに戻さないと。
「せ、芹霞、挑発すんなッ!!!」
煌が慌てた声を出した。
「うるさい、煌は黙っててッ!!!」
あたしは煌の手を払って、一歩前に出た。
ごめんね、煌。
煌はあたしの勢いに飲まれて、口を噤んでいる。
この手の話題でおとなしくなっているなんて、やっぱり煌の体調はおかしい。
「……ほう? 随分と死に急ぎたいようだな」
女の視線が、あたしだけになった。