あひるの仔に天使の羽根を
金色の瞳。
――どくん。
陽斗が揺れる。
冷たい孤高の色はあたしを捉える。
――どくん。
闇が…ある。
金の世界に、
確かに、何かの闇が揺らいでいる。
――闇?
あたしは首にかけている、櫂の闇石……血染め石を握った。
この地では紫堂の力は使えないという。
この地では守護石の力は使えないという。
だけど、闇属性しか扱えないという石の扉は櫂が開いた。
闇ならば。
櫂の闇ならば。
この地では有効なのか。
だけど――
「どうした? さっきまでの勢いは?」
嘲る様な女の笑い。
だけど、あたしには闇石の使い方は判らない。
闇石が有効かどうか、その絶対性も判らない。
あたしと女の間を煌が割った。
煌に――石の使い方を聞いてる暇もないならば。