あひるの仔に天使の羽根を
:或る心象風景 2.
彼の者は偽善
彼の者は虚飾。
偽善と欺瞞に満ちた書が我らの手に渡る時、
我らは真理を得るのだろう。
如何に我らは――
彼の者の虚栄の贄となっていたのか。
如何に此処が――
虚妄の楽園だったのか。
そう此処は。
玻璃で出来た、無限の牢獄。
不明瞭で、不可知な虚構の世界。
虚偽だけが果てなく続く。
彼の者はそれを悟られまいと、
我らに繋いだ鎖に楔を打込んだ。
蛇は――
それを知っている。
だからこそ我らに囁くのだ。
疑え。
そして――
禁を犯せ、と。
偽りの楽園が真実の姿に還る時、
人はそれを嘆き悲しむのだろうか。
それとも――?