あひるの仔に天使の羽根を
§第2日目

・小康

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泣いている。



子供が蹲って泣いている。



水辺のほとり。



あまりに悲しげなその声音に



思わず足を止めてしまった。



そして気づく。



足下には薔薇。



踏み躙られた紫の薔薇。



残骸抱いて泣きじゃくる子供に近寄ると



子供は徐(おもむ)ろに顔を上げた。



怯えと不安が入り混ざったその顔は



激しく零れ堕ちる純粋なその滴は



まるで――天使だった。





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