あひるの仔に天使の羽根を


違ったらどうしよう。


聞いてみたい桜ちゃんは、今苦しんでいる。



ちょっとだけ……


試してみようか。



違ったら、その時はその時だ。


あたしはいつだって前向き思考(ポジティブシンキング)。



あたしは煌の部屋に舞い戻る。



苦悶の表情でばたばたと寝返りを打っている煌。



「煌、さあ運命のお時間よ。

鬼が出るか蛇が出るか――

あんたにかかっているからね!?」



少しばかり、煌のせいにして。



意識ない煌の左腕を問答無用に捕まえる。


本能的なのか、反射的なのか。


煌の顔がぴくっと警戒に動いて、右腕を大きく動かした。


「……ひっ!?」


あたしは軽々と宙を舞い、慌てたあたしは天蓋から伸びたピンクのレースのカーテンを両手で掴むと、びりびり音をたてて裂きながら床に落下した。


須臾さん、ごめんなさい。



今度は馬乗りになり、真上から煌の腕を掴んだ。


重力もかかれば、煌だって簡単に振りほどけまい。


そう息込んだあたしだったが、


今度は煌の長い足があたしの背中を直撃し、


「うっ!!?」


あたしは前のめりになって、煌の胸に倒れ込んだ。




< 295 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop