あひるの仔に天使の羽根を
しかし煌の力は強まるばかりで。
煌の高い体温であたしまで汗ばんでくる。
熱さに益々息苦しくなってくる。
苦しい。
呼吸くらいさせろッ!!
何で離れないんだこの男はッ!!
仕方が無いから、何とか手を伸ばし、痛そうな左腕につんつんと人差し指で突っつくと
「!!!」
おお、煌の身体が勢いよく飛び跳ねた。
何だか痙攣して硬直している気もするけれど、
この隙を逃すあたしではない。
すっと逃れたあたしは揚々と腕まくりをして、
右手人差し指に軟膏……と思われる怪しい白いブツをたっぷりとつけ、
「せえやあッ!!」
気合いと共に、煌の……見るも無惨な、ぐちゅぐちゅになった亀裂に塗り込んだ。
直後の煌の雄叫びは。
もう筆舌尽し難く。
それはそれは……。
大変凄まじいことでございまして。
巨大怪獣が咆吼している……感じ?
「馬鹿蜜柑!!?」
桜ちゃんも飛び起きてきた。