あひるの仔に天使の羽根を

外は眩しいばかりの太陽が照りつけ。


思わずあたしは目を細める。


棟の中は何とも靄がかった空気で気分悪かったけれど、外の世界は澄み切った空気の快晴で。


いつかあたしの日常を、快晴に戻してみせる。


そう思った。


そうしててくてくと歩く内、あたしは重大な過失があったことに気づいた。



此処は――

何処なのか。



あたしは――

何処へ行けばいいのか。



さっぱり判らない。


しかも。


自慢じゃないが、あたしは方向オンチで。


やばい。


深みに入る前に、一旦引き返そう。



「………」



しかし。


数分後は、更に見知らぬ光景の中で。


おかしい。


来た道をただ戻ったはずなのに。


例えば近くに人がいたならば。


例えば式典らしき気配が感じ取れたならば。


だけど。


辺りは見渡す限り、特徴のない草むらで。


迷った。


水差し持ったまま、完全に迷ってしまった。


一番――


やってはいけないパターンに嵌ってしまった。




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