あひるの仔に天使の羽根を
・怯え
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あたしは只今、着替え中。
ボストンバックを開けて中身を確認してみれば、スケスケやら、ヒモヒモやら、何処で何を隠すのっていうような極小布地の下着に溢れている。
しかもどれもが、扇情的な赤一色。
こんなもので荷物が膨れ上がっていたとは。
さらにひらりと舞い落ちる1枚の紙。
『悩殺せよ 姉』
達筆な……7歳離れた我が姉の毛筆自著。
あたしはその紙をくしゃくしゃと丸めてゴミ箱に投げ棄て、地団駄を踏む。
どんな気紛れか、昔のようなきりりとした姿に戻っても、やはりその性根自体は捻じ曲がっている姉。
緋狭姉は、妹という贔屓目なくとも、かなりの美人だ。
匂い立つような色気を放ち、大輪の華のように、艶やかに咲き誇る。
あたしもこんな下着つけていれば、緋狭姉のような色気ある美人になるのだろうか。
血は繋がっているから、不可能でもないはずだ。
「……」
いけない。方向性を間違える処だった。
清純派……とまでは言わないから、清く正しく生きていこう。
しかし緋狭姉、こんな冴えない女の頑張った下着姿で、一体誰を悩殺しろというのだろうか。
一番騙されてくれそうなのは、純情そうに見えて実は女経験豊富な煌か。
あいつが過去相手してきた香水女の数は、かなりのもの。
きつい香水の匂いをぷんぷんさせて家に戻った時は、本当にうんざりした。
緋狭姉曰く、それが煌の逃げ道で、そうせざるを得ない事態を危惧すべきというから、あたしはあえて煌のやることに口出しはしなかったけれど。
発情期真っ盛りのお年頃だからと譲歩しても、決して快いものではない。
あたしは只今、着替え中。
ボストンバックを開けて中身を確認してみれば、スケスケやら、ヒモヒモやら、何処で何を隠すのっていうような極小布地の下着に溢れている。
しかもどれもが、扇情的な赤一色。
こんなもので荷物が膨れ上がっていたとは。
さらにひらりと舞い落ちる1枚の紙。
『悩殺せよ 姉』
達筆な……7歳離れた我が姉の毛筆自著。
あたしはその紙をくしゃくしゃと丸めてゴミ箱に投げ棄て、地団駄を踏む。
どんな気紛れか、昔のようなきりりとした姿に戻っても、やはりその性根自体は捻じ曲がっている姉。
緋狭姉は、妹という贔屓目なくとも、かなりの美人だ。
匂い立つような色気を放ち、大輪の華のように、艶やかに咲き誇る。
あたしもこんな下着つけていれば、緋狭姉のような色気ある美人になるのだろうか。
血は繋がっているから、不可能でもないはずだ。
「……」
いけない。方向性を間違える処だった。
清純派……とまでは言わないから、清く正しく生きていこう。
しかし緋狭姉、こんな冴えない女の頑張った下着姿で、一体誰を悩殺しろというのだろうか。
一番騙されてくれそうなのは、純情そうに見えて実は女経験豊富な煌か。
あいつが過去相手してきた香水女の数は、かなりのもの。
きつい香水の匂いをぷんぷんさせて家に戻った時は、本当にうんざりした。
緋狭姉曰く、それが煌の逃げ道で、そうせざるを得ない事態を危惧すべきというから、あたしはあえて煌のやることに口出しはしなかったけれど。
発情期真っ盛りのお年頃だからと譲歩しても、決して快いものではない。