あひるの仔に天使の羽根を
「『KANAN』は決められた仮想空間において、念じれば超人並みの疑似格闘・疑似魔法を使うことが出来ます。たとえば魔法」
突如、競技場に大きな……赤い魔方陣らしきものが現れ、それは炎となり、炎は虎を象り、その口から激しい火を噴いた。
間近にいる観客から悲鳴が上がる。
「大丈夫です。全ては私の作った想像物。幻影です。ご安心を」
スクリーンもないのにこの迫力は。
3Dなんて目ではない。
どういうからくりか、同じプログラマーとしては凄い興味がある。
そして次に格闘披露となった。
その時だ。
「!!!」
僕の身体がびくんと反応した。
「どしたの、師匠?」
「芹霞が僕を呼んだ」
「は?」
「何処からだ…? 一体何処に居る?」
そう――
芹霞の気配を探す僕の動きは派手すぎたのかもしれない。
「――!!!」
ばっちり。
上に居る櫂と目があってしまった。