あひるの仔に天使の羽根を
・決別
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――初めて見る顔…でもないね?
美妙な輪郭だけで構成された、蠱惑的な美貌。
浮世離れという表現では到底追いつかない、戦慄さえ覚える美しさ。
そして、妖しく揺らぐ紅紫色。
この男は――
あたしのことを知っているのだろうか。
いつ?
「……あたし達何処かで会った?」
記憶ないけれど。
すると男は、あたしの中の何かを走査するように、無言で紅紫色の瞳を向けて。
「……忘れられる程
印象無かったかな、オレ」
そして項垂れる様に前に頭を垂らすと、突然――
「な、何!?」
笑い出した。
妖艶な声色響かせながら、双肩を揺らして笑っている。
そして笑いを止めると、顔を上げる。
瞬時に切り替わる、動の表情。
獰猛な肉食獣のような飢えた光湛えた、
憎悪とも見間違えるような眼差し。
――初めて見る顔…でもないね?
美妙な輪郭だけで構成された、蠱惑的な美貌。
浮世離れという表現では到底追いつかない、戦慄さえ覚える美しさ。
そして、妖しく揺らぐ紅紫色。
この男は――
あたしのことを知っているのだろうか。
いつ?
「……あたし達何処かで会った?」
記憶ないけれど。
すると男は、あたしの中の何かを走査するように、無言で紅紫色の瞳を向けて。
「……忘れられる程
印象無かったかな、オレ」
そして項垂れる様に前に頭を垂らすと、突然――
「な、何!?」
笑い出した。
妖艶な声色響かせながら、双肩を揺らして笑っている。
そして笑いを止めると、顔を上げる。
瞬時に切り替わる、動の表情。
獰猛な肉食獣のような飢えた光湛えた、
憎悪とも見間違えるような眼差し。