あひるの仔に天使の羽根を


「……へえ。じゃあさ。

何をもって君はそれを"真実"だと言い切るの?」


まるで。


深淵の底まで落ちたような、暗い瞳で。



「え?」



「"真実"と"欺瞞"、その区分けは何処?

"主観"と"客観"、その線引きは何?」



「偽りのものは、いつかは砕け散る。

永遠こそが"真実"であり"客観"よ」



「永遠?」



男は、実に蔑んだ目を向けてくる。



「永遠なんてあるわけないさ。

少なくとも。

そうであるべきだと君が主観に凝り固まっているということは、

そうでなければならない逆の"真実"を知っているからだ」



「違う!!! 永遠は正当な"真実"なの。

それは記憶が証明してる!!

あたし達の仲は永遠…それ以上なの!!!」



泣きそうだ。


震えそうだ。


どうしてあたしはこんなに興奮しているのか。


何に対してあたしは叫んでいるのか、もう見えなくなって。



「凄い否定の仕様。

――じゃあさ…、

どんな記憶をもてば、永遠は"真実"になるの?」



無慈悲なまでに冷たい瑠璃色に。


あたしは答えることが出来なくて。


答え様がない。


だってそれこそ。


あたしが問い続けていることだから。



「――…たくせに」



続けられた言葉は小さすぎて。



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