あひるの仔に天使の羽根を
 

何でこうなる?


こんな事態に何故になっている?


――大丈夫。皆の前で無視はしないから。

――だけど、近づきはしない。

――2人きりにもならない。

――櫂もあたしを放って置いて。



お前は……全然判っていない。


それは生きたまま死ねと言ってるんだ。


今でさえ触れたくて仕方が無くて。


女のお前に、男の俺が。


理性で欲望を押し殺しているのに。



長年何よりも欲しくて仕方が無いものを


ただ遠目で眺めていろと?


残酷すぎる。


いや、そんなことよりも。


確実に――

その間に……


お前が獲られるじゃないか!!!



認めない。


そんなの耐えられない。


我慢など出来るはずがない!!



駄目だ、絶対引くわけにはいかない。



俺は、無様でも縋るしか出来なくて。


芹霞に必死に撤回を請うて。



芹霞は――


俺を突き放す。



俺の存在を拒み続ける。


芹霞を求める俺を拒絶する。

< 389 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop