あひるの仔に天使の羽根を

・緊縛 煌Side

 煌Side
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身体が――


動かねえ。




腕も火照ったまま、じんじん疼くし。


緋狭姉の重い腕環で更に負荷がかかり、宙に浮かすのも困難だ。


外したくても外せられない、"鍛錬"という名の重い枷。


だけど、紅皇としての大事な守護石。


現役復帰して、必要となる場合もあるだろうに、


なんでんなもん、ぽいと俺に渡すかな、緋狭姉は。


まあ、守護石に頼らずしても、最強だから…。


……口の悪さも最強だけど。



それにしても左腕が重い。


重いのは、腕輪のせいだけではないこと、俺だって判る。


傷口。


こいつのせいだ。


10cmくらい、上腕に斜めくっきり。


まだ赤みがかっているからいいけれど、紫染みてたら壊死まっしぐらになってもいい傷だ。


普通の切り口ではねえ。


単純の切り傷なら、俺の身体はもうとうに回復している。


俺――腕あってよかったな。


目覚めて左腕なかったら、どうしていたろ。


それに。


隻腕になったら、絶対緋狭姉に笑い転げられる。



"ほう、真似られる程馬鹿犬に惚れこまれていたとはな"



そんなとこか?


芹霞とは違った意味で、緋狭姉には惚れこんでいる。


緋狭姉いなければ、今の俺は存在していない。


此の世に"如月煌"を生み出してくれたのは、緋狭姉だから。


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