あひるの仔に天使の羽根を
何だ?
――良かった。正直煌がいてくれて助かる。
櫂から逃げているのか、お前。
まさか――
櫂の想いに気づいて?
いや、何かが違う。
じゃあ何だ?
そんな時、
「ええ!? 玲くん捕まったの!!!?」
蒼白になった芹霞が叫んだ。
「どうしよう、あたしのせいだ……」
大きな目に、涙が零れそうになって俯いた。
いつもなら――
櫂が飛んできて、そんな芹霞を支えるのに。
櫂は。
伸ばした手を引いて、悲痛な顔で芹霞を見つめただけで。
だから。
一番近くに居る俺が芹霞の肩を引き寄せてしまう。
悪い、櫂。
お前の気持ちも判るけれど。
正直、そんなお前の前で躊躇いはあるけれど。
だけど、隣の芹霞が泣いているんだ。
少し我慢してくれ。
俺のこと、恨んでもいいから。