あひるの仔に天使の羽根を
 

「行かれるのでしたらその方がいいでしょうね。貴方が行かれるのなら、彼も至極お喜びになるでしょうし」


意味ありげに、須臾はくすりと笑った。


「此の期に愛の絆をお深め下さいませ」


何を――


言ってるんだ、この女。


「お前に何が判るんだよ、あ!?」


気づけば俺は、須臾の腕を掴んで威嚇していて。


「俺達の……玲のことを何も知らないくせに、勝手につべこべ抜かすな」


すると須臾は腰を抜かしたのか、ぺしゃりと床に座り込んでしまった。


「す、すみません、つい……」


俺、この女嫌いだ。


こいつ――


確信犯だ、間違いなく。


「その教会って何処にあるの?」


低く、芹霞が訊いた。


「"中間領域(メリス)"に行けばすぐ判ると思います。ですが、教会内部に入るには、信者でなければ……」


"きょうしんしゃ"


旭の言葉が蘇る。



「つまり――修道服を着てればいいってことね?」


芹霞は腕組みをしてそう言った。



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