あひるの仔に天使の羽根を
「あたしに決定権はないわ。何であたし?」
――どくん。
「玲さんから"幼なじみ"と聞きました。
ですが私には、どうも貴方は、玲さんがいるのに紫堂様にも一方的な執着があるように思えるので、了解を得たいのかもしれません」
――一方的な執着。
「あたし達は、そんな"恋愛"のように刹那に終わるような薄っぺらい関係じゃないの。"永遠"以上の関係よ」
あたしは挑発的な須臾の物言いにむっとして。
すると須臾がくすりと笑った。
それが馬鹿にしているような笑いに思えて、あたしは更に固い声を出す。
「何?」
「……いえ。貴方がそう思っている割には、見れば見るほど、紫堂様との関係が終焉に近づいているように思えて」
目の前に居る少女は――
「この地において、"永遠"なんて言葉、使わない方いいです。そんな紛い物、ありえないこと誰もが判っているから。笑われてしまいますよ?」
一体誰なんだろう。
「そんなものに縋り付くしか、出来ないなんて可哀相」
――!!!
慈悲深い。
何て都合の良い言葉。
そんな眼差しで、あたしは嗤われた。
12年間の櫂との思い出を、出会って1日そこいらの須臾に奪われた?
――冗談じゃない。
「あたしにだって譲れないものがある」
気づけばそんなことを口にしていて。
上等。
売られた喧嘩は、買ってやる。
それくらいの意気込みで居たのに。