あひるの仔に天使の羽根を
段々と…歩く足に異様な重さを感じてきた。
まるで鉛のように思える僕の足。
耳鳴りが襲って、些か頭がくらくらする。
閉鎖的環境にいるせいなのだろうか。
一種の酸欠状態で、軽い貧血でも起こっているのだろうか。
身体の負荷が大きすぎるのか、僕の心臓は乱れ始めている。
まるで2ヶ月前の呪詛のように、ずっしりと何かが僕にかかっているような。
あの呪詛は、忘れたくても忘れられない。
僕が初めて芹霞と外出して、そして芹霞を護りきれなかった不甲斐ない僕の記憶だから。
僕ならば芹霞を護れると自惚れていたが故の苦い思い出。
僕は発作を起こし、他の男の手に芹霞を渡した。
そして今も尚、芹霞を護ることが出来なくて。
こんな場所に連行されている。
櫂は芹霞の元に辿り着けただろうか。
護り切れたのだろうか。
その役目は僕がしたかった。
今頃、2人は何をしているのだろう。
2人きりでどうしているのだろう。
きりきりと胸が痛んで仕方が無い。
櫂を拒んでくれ、芹霞。
そう思う僕は浅ましく。
嫉妬と欲望に塗れた僕は真の咎人で。
――泣けてくる。