あひるの仔に天使の羽根を

「ごめんね、お姉さん。"罪の洗滌"終えて疲れているのに、疑っちゃって」


ツミノセンデキって何ですか?


先刻も言っていた覚えがある。


あたしが着ている服が"紫色"ということが関係あるのだろうか。


もし服の色が仕事を明示できるというのなら、


久遠の相手をしていた修道女は皆、ツミノセンデキとかいう仕事をしていたのだろう。


豊穣の儀式とかも言ってたっけ……。


久遠と女の交わりを見た時、儀式めいて感じたのが思い出される。


もしかしてこの服を着ている女達は、久遠とそういうことをするのが役目なのだろうか。


ありえるんだろうか、公然たるそんな仕事。


――"アイガン"の処から帰ってきたんでしょ?


"アイガン"とは久遠のこと?


――1日13人。


ひいっ。


久遠はそれに付き合っているの!?


何故、どうして!?


そして玲くんまで、その"アイガン"とやらになってしまったら、玲くんもそんな数の女性を相手にするってこと?


ほっこりさせてくれる優しい玲くんが?


玲くんは過去の女性関係を教えてくれないけれど、その数は少なくはない気がする。


玲くんは綺麗だし、その気になれば落ちない女はいないだろう。


優しいし、頭良いし、強いし。


彼女がいないのが不思議なくらいで。


玲くんが1日13人、10日で130人の女性を抱くの?


「………」


「お姉さん、顔恐いよ?」


――舌……搦めて?


「お姉さん、顔赤いよ?」


放っておけ!!!


「ねえ、お姉さん。蛇の誘惑は強烈だって聞いてたけれど、よく平然といられるね?」


「?」


「殆どのシスターは堕落して、信仰心をなくして狂ってしまうというのに、お姉さんはそれを跳ね除けるだけの聖なる力があるんだね、ふうん。…全然そうに見えないけれど」


何だかよく判らないけれど、馬鹿にされたことは確かだ。



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