あひるの仔に天使の羽根を
「永遠……か。いっそない方良かったかもな」
そうすれば、ここまで拗(こじ)れずにいたかも知れない。
「あ?」
煌が不思議そうな顔で俺を見て、
「何だよお前。それ嫌味か?」
眉間に皺を寄せて顔を歪ませる。
「いや、真意だ。多分、お前の方がストレートにあいつに伝わる」
「?」
俺は作った笑いを消して俯き、髪を掻き揚げた。
そして褐色の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「俺……言ったんだ、あいつに。
好きだ…ってさ」
掠れてしまった俺の声。
ごくん。
煌の唾を飲み込む音が、やけに大きく部屋に響いた。
やがて――
「あ……あ、…あ…。
あああ、ああああああああ……」
まるで壊れてしまったゼンマイ人形のように。
かなり激しい動揺を煌は体現する。
そして。
「……そ、そそうか」
忙しく動く目。
辛そうに歪めて、俯いた精悍な顔は。
毒でうなされていた顔よりも、苦しそうで。