あひるの仔に天使の羽根を
「つ、伝わらねえ……?」
やがて煌がひっくり返った声を出して。
「ああ」
「お前が言葉で伝えても……?」
「……ああ」
「櫂が動いて……伝わらねえって…?」
溜息混じりに頷いた俺を見て、もう一度同じ言葉繰り返して。
俺の傷はますます大きく抉られる。
そして煌は――
「………ッ!!!」
頭を抱えて俯いてしまった。
そうしたいのは俺の方なのに、なぜ煌が?
「あいつ、そこまで最強なのかよ?」
今度は違った意味で涙目で。
多分。
色々考えているのだろう。
俺の気持ちだとか。
自分の気持ちだとか。
重ねて嘆いているに違いない。
「どこまで鈍感なんだよ?」
また俯いた。
「で、櫂。お前どうすんだ?」
あげた顔は不安げで。
「どうもこうも。
あっちが理解しようとしないなら、理解させるしかないだろう。
とことんまで、もがくしかない」
煌はただ無言で。
「"永遠"が、最大の障壁だ。
俺は芹霞が思うほど、崇高な人間ではない」
俺にあるのはどろどろとした欲望。
貪欲な獅子。