あひるの仔に天使の羽根を
 

「取り柄がねえから――

あいつの心の片隅に残るには、

お前みたいな"特別"を引き寄せるには、

告るしか術はねえ。


手を出したくても――

俺の女遊びのツケが回ってやがる。


ムカつくことに、あいつは昔から動じねえ。


俺が"そういう男"だと第三者視点だ。


…自業自得、なんだけどよ」


そう自嘲気に嗤って。


「お前のように"理解させる"なんて以前の段階だ。


元より俺は、そんな器用な真似できねえし。

無様でも我武者羅に突き進むしか出来ねえんだ」


ああ――


「俺は、そこからじゃねえと、何も始まらない」


憧れるのはこの真っ直ぐさ。



「だけど覚えておいてくれ。

お前がどんな姿で芹霞を求めようと、

俺にとってお前は憧れなんだ。

"永遠"に――」



それはもう真っ赤な顔だったけれど。


煌の心を受け取った俺は、静かに頷いた。


不思議だ。


煌からの宣戦布告を突きつけられて


それでも心は不思議と穏やかで。


何だか泣きたい心地になってきた。


それは煌も同じらしく、


褐色の瞳が少しだけ潤んでいた。



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