あひるの仔に天使の羽根を
「残酷だね。その自分勝手な"好き"っていうモノで、"陽斗"を縛り付け、"そんな姿"にしてしまうなんてさ」
――どくん。
「陽斗を犠牲にして楽しく笑って生きている気分ってどうなの? 陽斗を完全過去にして平然と懐かしむのはそんなに快感?」
あたしの――決壊が崩れる。
――ぎゃははははは。
目の前の少年は――
陽斗の姿になる。
「ぎゃはははははは。……こんな感じ?」
あたしを蔑み、憎々しい眼差しを向けた陽斗の姿に。
――芹霞ちゃんよー。
いない。
あの頃の陽斗はいない。
「"切り裂かれて痛かったぜ、芹霞ちゃん"」
あたしは――
「"忘れてないぜ、お前への恨み"」
「いやあああああああ」
泣き叫んだ。