あひるの仔に天使の羽根を
「武器に顕現しねえのによ……」
いつもなら。
手のひらにピアス置いて、"偃月刀"を強く想起すれば顕現するけれど――
「おっ!!!?」
出来た。
出来た――!?
「は!!?」
何で出来る!!?
試しにやったら、手のひらには久しぶりの偃月刀。
何処をどうみても、俺の偃月刀。
ひっくり返しても、逆さにしても偃月刀に間違いない。
「………」
喜んでいいのか悪いのか、驚きすぎて複雑な心境。
「出来るんなら、もっと早くなんで気づけなかったんだ、俺は!!!」
いつから!!?
どうして!!?
疑問符だけが頭に回るけれど。
俺の偃月刀があれば、これを防御に使用すれば、あの女が現れた処で双月牙を弾くことが出来るだろう。
心強い仲間の復活。
だけど、一緒に入ることは出来ねえ。
どうすりゃいい?
建物入らず遠回りするか?
だけどこの馬鹿でかい建物回れば、どれくらい時間かかるんだ?
それで行き着くのか、本当に?
だけど。
建物に入ったとして抜け出れないなら、建物に入る意味ねえし。
誘いのよう気もしてくる。
他の道を探す時間も、惜しい気もする。