あひるの仔に天使の羽根を
靡く金髪。
俺を見据える金色の瞳。
笑いを湛えるその顔の作りは。
「陽斗!!?」
いないはずの陽斗と酷似していて。
まさしくチビ陽斗で。
「あいつ、子供いたのか!?」
まさか――
「お姉さんが母親のはずないでしょう。第一僕はお姉さんより年上だよ?」
少しばかり呆れたような眼差しが返った。
チビ陽斗にどこから突っ込んでいいのか判らない。
お姉さんっていうのは芹霞のことか?
芹霞と知り合いかよ?
本当に陽斗と芹霞の子供じゃねえよな?
陽斗とどういう関係だ?
芹霞より年上って…どうみても小学生だろ。
色々…。
だけど判ることは――
「どいつもこいつも"陽斗"って煩いな。
君も、沈められたい?
――お姉さんのようにさ」
こいつの目は好意的じゃねえ。
しかも――
「……芹霞をどうした、お前」
危ねえんだ、このチビ陽斗。
これ以上間合いを詰めると一触即発っていう、ぎりぎりな線できっちりと止まれるなんて、子供の出来る業じゃねえ。
刀持つ俺に対し、悠然と出来る様が普通じゃねえ。
子供なら、泣き出している。
ならば。
本当に、こいつ芹霞より…俺より年上だっていうのかよ?