あひるの仔に天使の羽根を

「須臾は貴方を選んだのよ!!!

貴方は果たすべき"責任"がある!!!」


そう言われた時、俺は思わず口に出してしまった。


「俺は――

須臾を選んでなどいない」


俺には決めた女がいる。


永遠を捧げる女がいる。


俺は他の女に果たすような"責任"はない。


「同じ事よ。

貴方は須臾に選ばれたのだから」


「全く違うだろう。

まるで俺と心が通い合ったというような言い方をするな」


態度を変えた俺に、樒も引かず。


まるで平行線。




「うわ~、冷たいねえ、紫堂櫂って」




膠着状態の場を崩したのは、突如割って入った久遠だった。


開け放たれたままのドアに、腕を組んでけだるげに背を凭れさせながら、こちらをじっと見ていて。


冷たい瑠璃色の瞳で。



「去りなさい、久遠!!!」


息子の姿を見た途端、樒は怒鳴った。


「ねえ、樒さん。

妹の相手考え直したら?

妹の"永遠"には足りえないよ?」


"永遠"?



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