あひるの仔に天使の羽根を
:或る心象風景 3.


此処は――何処なのだろう。



如何程の刻が流れたのだろう。



此処まで来れば、もう逃げられる筈だ。



欺瞞に満ちた、混沌の呪縛から。




だが、嗚呼!



行けども行けども、一向に変わらぬ景色



錯綜し続ける、冷瓏たる白銀の迷路。



嗚呼、呪わしきは此の迷宮。 



出口は一体何処にある?



―― 白銀色の私が哭いている。



真実は一体何処にある?



―― 白銀色の私が笑っている。



真実は……


そう、信じられる真実は。




此処に在る私――だけ。




……譬(たと)え

如何なる姿に成り果てても。




< 533 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop