あひるの仔に天使の羽根を
:或る心象風景 3.
此処は――何処なのだろう。
如何程の刻が流れたのだろう。
此処まで来れば、もう逃げられる筈だ。
欺瞞に満ちた、混沌の呪縛から。
だが、嗚呼!
行けども行けども、一向に変わらぬ景色
錯綜し続ける、冷瓏たる白銀の迷路。
嗚呼、呪わしきは此の迷宮。
出口は一体何処にある?
―― 白銀色の私が哭いている。
真実は一体何処にある?
―― 白銀色の私が笑っている。
真実は……
そう、信じられる真実は。
此処に在る私――だけ。
……譬(たと)え
如何なる姿に成り果てても。