あひるの仔に天使の羽根を
 


――僕に……応え……て?


僕の熱は、2ヶ月前のあの時から消えぬまま。


冷めることなく、燃えることなく。


僕は"現状維持"のまま、ありったけの理性で欲望をねじ伏せている。


本当は……"僕"は求めている。


今すぐにでもあの時を再現したい。


我武者羅にあの続きに耽りたい。


僕だって煌のことは言えない。


2人きりになって請い願うのは、


世間話ではなく…世の恋人が交わす睦言。


愛し合う男女がする、睦み合い。


でもそれは、芹霞の心を手に入れるのが前提で。


一方通行のものではなく。


――舌……搦めて。


少しでも、僕に返る反応を感じ取りたくて。


僕が欲しいのは、冗談と笑って済ませられない、異性間の身体の触れ合い。


こんな同性間のような触れ合いは望んでいない。



「ねえ、芹霞。

いつもの僕と、この格好の僕、どっちがいい?」



「どっちでも?」


芹霞は即座に、快活に笑った。


「だって玲くんには変わりないんだし。玲くんの心まで"女"になってしまったら嫌だけれど。玲くんは正真正銘の"男"だし」



「――…っ!!


君は……僕が"男"に見えるの?」


君が――。


恋しくて恋しくて堪らない。



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