あひるの仔に天使の羽根を


「……あ」


やがて煌から漏れた声。



「ん?」



「あ、あの……さ」



「んん?」



しかし言葉は続かない。


煌は酸欠状態の金魚のように、口をぱくぱくして苦しそうにしていて。


あたしも段々と痺れを切らしてきて、


「だから、何!?」


胸倉掴んで怒鳴ってしまった。



「ヘタレな俺って――

恋愛対象外?」



そう――


褐色の瞳が向けられた。



激しく揺れた…熱っぽい瞳。


真っ赤な顔。



「へ!? な、何!? あたしに恋愛相談!!? いつから!!? 何処の誰!!?」



「違うって、そんなんじゃねえッ!!!

目をきらきらさせるな、俺が凹むわッ!!!」


「何だ、違うのか。じゃあ何?」


項垂れてしまった煌を至近距離で見つめていれば、



「ああもう――っ!!!

色々考えていたのに、肝心なときに何も出てきやしねえッ!!!」




突然そう怒鳴りだし、



「いいか、芹霞ッ!!!

俺はお前が――……」



「?」


「お前が――…」



「あたしが???」




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