あひるの仔に天使の羽根を
僕の声は、歓喜に震えていたと思う。
「当然じゃない。どうしちゃったの、玲くん?」
それは本当に不思議そうに僕を見るから。
僕は――。
「ちょっとやだ、玲くん。どっか痛いの? それとも目にゴミでも入った?」
涙を零してしまった。
不覚にも。
おろおろする芹霞が可愛くて、僕は芹霞を引き寄せ抱きしめる。
僕の涙を誤魔化すように。
「れ、玲くん?」
櫂と煌と、あんな約束…するんじゃなかった。
2ヶ月、十分に時間があったのに。
僕の心は芹霞を求めて鬩いでいる。
嫋やかな身体を独占したくて仕方が無い。
芹霞の首筋に顔を埋め、今更の後悔に大きな溜息をつくと、芹霞はびくりと身体を震わせ身を捩った。
その反応に、僕は知らず知らずに笑みがこぼれる。
「僕と――
イケないこと、しようか」
「ふえッ!!?」
何とも形容できない、驚愕の声を芹霞は発した。
「僕にハマってくれるんでしょ?」
「そ、それは同性愛のアブノーマルの世界ということで……」
「同じさ。どんな僕でも"僕"なんでしょ?
それともそれは嘘?」
「う、嘘ではないけど。だ、だけどね。あまりに刺激的でね……」
可愛い芹霞。
僕の目を意識的に見れずに、当惑したように大きく揺らす瞳。
困らせて喜ぶ僕は、変態なのか。